誰しもがやがて年をとります。それが自然の摂理であるのに、老人問題とか高齢者問題についてなんとなく他人事のように考えている人も多いようです。
ピーク時には日本の3分の一の世帯に高齢者が生活し、その時の高齢者は今、現役で働いている40代〜50代の人たちと言われています。
いずれはやってくる自分の老後のことを真剣に考えてみませんか?


 





日本では高齢化社会を迎え、今や世界有数の長寿国となり、65歳以上の人口は西暦2012年には23.6%に達すると推測されています。しかし、経済大国でありながら住まいに関しての高齢化の配慮はまだ充分とは言えず、ことに今後スピードが増してくる高齢化に対しては的確な対応が必要となっているのが現状です。 一日の大半を過ごす住空間なのに豊かさがあまり感じられないのはなぜなのでしょうか。


 
ずっと以前に高齢化社会を迎えている北欧では高齢化対策が非常に優れています。例えば、若い夫婦でも公庫資金を借り入れる時、「あなたの家族には今、車椅子は必要ではないかもしれないが、将来必要になるかもしれないし、後でそこに住む家族の中に車椅子を必要とする人がいるかもしれない」と、資金を借りる条件として車椅子のまま入れるトイレや浴室の設備、住宅内部の段差の解消を提示されるそうです。またその時、再び家を改築しないですむようにという配慮もあるそうです。
 



高齢先進国では高齢者対応住宅についても老人の生活を考えるのではなく、自分もいつかは年をとる、ということが共通の認識となっていて、家も個人のものとして考えず、どんな人でも住めるように家づくりをしているそうです。生涯住みこなせる住宅とその環境をつくりあげるということは、高齢者のみならず、赤ちゃんからお年寄りまで快適に過ごせる環境をつくりあげることなのです。誰しもやがては年をとります。住宅は一生住めるように計画しておく必要があるようです。



現在の日本の家は空間が細かく仕切られている上、段差も多く、トイレや廊下も一人分のスペースしかとっていません。これでは体の具合が悪くなったお年寄りにとって不便な生活環境となり、同居しているお嫁さんは親を介護する為に仕事を辞めてしまうということになってしまいます。見習うべき点が多い高齢先進国の場合はたとえそうなったとしても、お年寄りが家の中で自由に生活できるし、福祉も発達しているので手助けが必要な場合は外部の力を借りることができ、お年寄りがいる家でも女性が長く仕事を続けていくことができるそうです。出生率の低下など高齢化社会にともなって起きている現実にこれからは真正面になって取り組まなければなりません。


住まいの「豊かさ」とは決して贅沢なくらしではありません。「居住水準」は、一戸一戸の「広さ」のみを基準とするのではなく、周辺環境の快適性や通勤事情、騒音、また公共施設や余暇施設への利便性なども加味しつつ、もっと幅広く捉えるべきだと思います。北欧などに見る住まいは日本の建築を見慣れた人にとって、大変シンプルで簡素に感じられるのもそのせいなのでしょう。
他国に例を見ない速さで高齢化が進んでいる日本。出生率減少なども原因で加速され、家族形態の変化は高齢者の一人暮らし世帯と夫婦世帯の増加をもたらしています。これからは、生活が不自由になった時に初めてそれに対応する住宅を考えるのではなく、やがては年をとる自分のためにも今から真剣に「生涯住宅」を考えてゆく必要があるのです。

 

 

 

 
 
     
 
個人差はありますが年を重ねていくと目や耳、鼻などの感覚が劣っていく症状が現れてきます。 そのようなことから高齢者が日常生活する空間は四季の変化が眺められる外に面した部屋が適しているといわれています。また日常会話を繰り返すようになるのは記憶力の低下によるもので、親子であっても長い時間継続するとわずらわしくなってきます。しかし、小さな子供の場合は同じ話を何度きいても嫌悪感はなく、むしろ子供は同じ話を何度も聞きたがる傾向があるので、ヨーロッパなどの高齢者集合住宅では同じ敷地に幼稚園や保育所などが隣接して設けられ、お互いに交流しているケースがみられるそうです。日本ではまだ少ないのですが高齢者の生きがいに大変効果があるという報告もあります。いずれにしても一人で部屋の中に閉じこもっているよりは生活に張りと潤いを与えてくれますし、知的機能の低下予防にも役立ちます。おじいちゃんやおばあちゃんが身近にいる子供は心が安定し、大人のおおらかな愛情をたっぷり吸い込んで豊かな心を育んでゆくそうです。また、高齢者も若い世代と暮らすことで生き生きと過ごせるのです。本当に住みやすい家は設備の充実や高齢者対応の間取りだけではないようです。自然が身近にある環境や家族との対話も忘れてはならない大切なポイントなのです。
 
     
 

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